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外国人を雇う前に~4~(会社側か準備するもの)

国人留学生が卒業後に日本で働く場合、
会社が決まったら、ビザの変更手続きをします。
基本的に、これは本人が手続きをします。
 (海外にいる人を日本で働いてもらう場合は、在留資格認定の手続を会社がします)

この本人が作成し、提出する書類の中に、
会社側が準備する書類があります。
実は就労系のビザを取得する際に、外国人だけでなく、
会社側もチェックを受けるのです。

一般的には、
・登記事項証明証
・会社パンフレット、企業ホームページのアドレス
これらは、会社に実体があるのか、何をしているのかをチェックするためです。
・雇用契約書
・外国人の職務内容
・採用理由書
どのような職務内容で採用したのかを調べます。
・直近年度の決算報告書(貸借対照表、損益計算書)
・給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表
会社の財務状況を調べます。
・外国人の給与水準と同レベルの日本人給与水準がわかるもの
不当に安く雇っていないかのチェックをするためです。

これらを揃えると、申請書を受理してもらえます。
申請書受理=ビザ取得 ではありません。入管側が、もう少し詳しい資料を求めてくる事は多々あります。
それに真摯に対応しなければ、書類不十分として不許可になることもあります。
会社の内情に応じて、適宜追加説明の書類を付けることをお勧めします。

外国人を雇う前に~3~(日本人と結婚している外国人)

テレビを見ていると、たまに「この職業に就労ビザがでるの?」とか、
「こんな自由にしててビザあるの?」とか思うことがあります。
続きをずっと見てると、「あ~あ、日本人と結婚しているのか」と納得したりします。


外国人が手にする在留ビザの中に「日本人の配偶者等」というビザがあります。
このビザを持っている人は、他の在留ビザのような、仕事に制限がありません。つまり日本人と同じです。

具体的に言うと、
「技術・人文知識・国際業務」のビザを持つ外国人が工場のラインに立ったり、居酒屋で調理や接客をすることは不法就労です。
しかし、「日本人の配偶者等」のビザを持っている人は、これらの業務をすることができるということです。
また、コンビニで働く日本人が減ってきたので、アルバイトの留学生を正社員に雇いたいと思っても、
入管から、アルバイトはOKだが正社員のビザは駄目と言われてしまいます。
しかしこのアルバイトが「日本人の配偶者等」のビザを持っていれば問題ありません。
日本人の配偶者ビザに仕事上の制限はありません。

ただし、この人が日本人と離婚した場合は、「日本人の配偶者等」のビザを別のビザに変更しなければなりません。
その場合に、今できている仕事ができなくなる可能性がでてきます。

会社側は、雇っている外国人が「日本人の配偶者等」のビザを持っている場合は、相手のプライベートな部分ですが、
日本人配偶者と本人がうまくいっているのか、又は不仲なのか、離婚の可能性はあるのかなどを知っておく方が賢明だと思います。

外国人を雇う前に~2~(ビザ変更)

申請書類は本人のプライベートな内容が多く含まれる為に、一般の人が代行することができません。この書類の中に、会社の内部情報を書く項が存在します。
従業員数や業務内容から、会社の納税証明などまで。

まだ入社もしていない留学生に内部情報を提供することを拒む会社もあり、
手続きができずビザが取得できなくなるケースがあります。
留学生に会社に見られたくない資料が存在する場合は、会社側も工夫が必要でしょう。

例えば、会社側が必要な書類を留学生側から聞いておいて、
留学生が入管へ行くのに同行し、
入管に書類を提出する際に、会社側の書類も一緒に提出するとか、
または行政書士に依頼するとか。

そして大事なことは、
留学生が一般の日本人と同じように、4月から働くためには、働く前日までに在留資格の変更ができていなければならないということです。
ビザの変更には1~2ヶ月はかかります。

入管では、4月から就労できるように、前年の12月から(場所によっては1月から)、在留資格変更を受け付けています。
留学生に内定出したら、ビザの変更を始めるように伝えてください。
留学生の中には会社がしてくれるものだと勘違いしている人もいます。

日本語学校設立申請の立証書類(時間割・スケージュール) (523)

日本語学校を設立するためには、最短でも開校1年前に入管に書類を提出しなければなりません。
  (申請できる時期は4月、10月のみ)
申請する段階では、どこの国から、どのくらいのレベルの人間が、何名、入学してくるのかなんて分かりません。  (認可がおりてからでないと、学生募集ができません。
   どうしても初年度は他校に遅れをとることになります。)
   
しかし入管に提出時点で、学校が想定するクラス(レベル)の入学から卒業までの授業カリキュラムを提出しなければなりません。月曜日~金曜日(土曜日)までの時間割、各時間の先生の配置。
各クラスの各ターン毎の達成目標や使用教材まで。
正直、対象がない段階でこれを作成するのは非常に難しいです。

それに最短でも1年後の開校なので、先生を確保するのも難しいです。
1年後に開校できるか、どうか分からない学校に来てくれる先生を何とか探しだしても、
どの先生が何を教えるのが上手、苦手なんて判断しようがありません。模擬授業を見ても、先生の特性はつかみきれません。

しかし、「このカリキュラムでは先生の得意、不得意が見えてこない。ちゃんと学生に教えられるのか?」とヒアリングで聞かれたりします。ヒアリングでここを聞かれるのは主任です。
主任はここを念頭に置いて年間スケージュール、毎日の時間割、先生の配置を考えなければなりません。


そのため、経営者側は、主任の選任をおろそかにしてはいけません。主任業務ができて、なおかついろんな学校の先生と繋がっている人であれば、その主任経由で良い先生が来てくれる可能性もあります。

外国人を雇う前に~1~(雇用条件)

日本人を雇い入れる場合、会社と本人の合意があれば、社員として採用ができます。
しかし外国人の場合は、本人との合意だけでは働けません。特有の法律がいろいろあります。

日本語学校や専門学校、大学の学生をアルバイトで雇用する場合
・入国管理局(以下:入管)の「資格外活動の許可」を持っているかチェックしてください。
・原則、週28時間です(残業込みの時間です)。
・学校が長期休暇の場合のみ1日8時間(週40時間)の労働が認められます。
・キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホール、パチンコ店、マージャン店、照度10クルス以下のバー、
  喫茶店などの風俗営業店、性風俗関連特殊営業でのアルバイトは認められていません。
・留学生に違法行為があると、事業主も処罰されます知りませんでしたは通用しません。
・外国人をアルバイトとして雇ったとき、アルバイトをやめたとき、ハローワークへの届出が必要です。

外国人を正社員として雇用する場合
・就労可能な在留資格がなければ仕事はできません。
・一定の経験や学歴がなければ就労用の在留資格は許可されません。
・単純労働的な仕事のために雇用はできません。
・保育士、ヘアメイクなどの職種は就労の為の資格は許可されません。
・雇用したとき、離職したとき、ハローワークへの届出が必要です。

外国人を雇うときのルールは、入国管理法(以下:入管法)で決められています。
このルールを破ると不法就労となり、事業主に懲役3年以下または300万円以下の罰金が科されます。


不法就労とされるのは以下の行為です。
・密入国の不法滞在の外国人が日本で働く。
・働くことが入管に認められていないにも関わらず、無許可でアルバイトをする。
・外国人留学生が週40時間以上のアルバイトをしている。
・就労ビザと違う内容の仕事をしている(単純労働しかしていない)。

「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者」「定住者」の在留資格を持つ外国人は職種制限を受けません。
しかし、それ以外の外国人は職種制限を受けます。
それ以外の外国人とは「技能」「技術・人文知識・国際業務」の資格を持つ人のこと。
「留学」「短期滞在」の在留資格の人は就労が認められていません。

「技能」「技術・人文知識」の在留資格を持つ外国人は単純労働目的の就職はできません。
単純労働とは、居酒屋・レストランの調理や接客。コンビニのレジ、陳列、清掃 等
留学生は「留学」の在留資格を持っていますが、就職する前に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に変更が認められなければ、日本での就職はできません。

会社が内定を出していても、この在留資格がなければ働けないのです

日本の専門学校に通っていても、就職できない職種があります。
・美容系専門学校を卒業して、日本でヘアメイクとして働くことはできません。
・調理・製菓専門学校を卒業して、日本でシェフやシェフ見習いとして働くことはできません
(海外でのシェフ経験なし)。
・保育・幼児教育系専門学校を卒業して、日本で保育士として働くことはできません。

会社側がOKをだしても、これらは不法就労です。
気をつけてください。


上記以外に「技能実習生」「特定技能」という資格があります。
「技能実習生」は文字通り、日本で技能を習得させて、帰国後にその仕事ができるようにするもの。
「特定技能」は日本の労働力不足を補うために、一定期間日本で働いてもらうビザです。
「介護士」「建設業」「飲食業」「ホテル業」などビザを得られる職種が決まっています。

【相談事例】外国人配偶者の子供を呼び寄せたい

【相談内容】
日本人と結婚した配偶者には前夫との間にできた子供がいる。
その子供を日本に呼び寄せ、一緒に暮らしたい。

法律では、
子供が未成年かつ未婚であれば「定住者」の資格を取得できる可能性があります。
ただし、
本当に自分の子供であることの証明や、子供の出生証明書、親権が自分にあることの証明や
日本に呼び寄せたい理由、現夫婦が子供を呼び寄せても生活できるだけの収入がある事の説明等が必要になります。


在留資格認定証明書と、上記の書類以外にも、子供との写真や、子供に仕送りしていた証明や、前夫との離婚証明などを
付けた方がいいでしょう。
「日本に呼び寄せる理由」は数行のテキトーな文章にせず、
説得力のある内容にしなければ真剣に呼び寄せたいのか疑念を持たれます。
文章の中には、子供の名前や生年月日も入れましょう。
本当に自分の子供なのか疑われます。

永住権と帰化

永住権と帰化の違いについて時々聞かれます。

「永住権は、外国人が日本に期限なしで住む事ができることで、
帰化は、国籍を日本に変える事」と答えます。

次に「どちらの方がメリットありますか?」と聞かれることが多いです。
私は「どちらも、仕事の業種のような活動制限がなくなるし、
毎度面倒くさい、在留資格更新手続きが不要になる。
あまり変わらない。
ただ帰化は国籍を変えることなので、慎重に考えた方がいいのでは。」
と答えます。

帰化すると、選挙権と被選挙権が与えられます。(日本人ですから)
また、公務員にもなれますね。

永住権の申請は「入管庁」へ申請し、
帰化は「法務省」へ申請します。

留学生の学部違いの就職

この時期になると、外国人留学生のビザ変更の相談を受けます。
外国人留学生は日本人学生の就職と大きく違います。

日本人学生の場合は、学んできた知識ではなく人物重視の採用は可能です。
しかし基本的に、
外国人留学生は大学や専門学校で学んだ事と関連ある業務しかできません。

例えば、観光系の勉強をしてきた留学生が、自動車整備の会社で働くことはできません。
どうしても働きたいのであれば、「特定技能」のビザを取得する方法があります。
しかし「特定技能ビザ」を取得するためには、
ビザ変更手続きをする前に、「試験」に合格していなければなりません。
この試験は「日本語」意外に「実務」も試験に含まれます。
実務経験がない人は合格が難しい分野が存在します。

この試験は不定期なので、よく調べておく必要があります。
分野によって、担当省が違います。
「介護」「ビルクリーニング」・・・・・・・・・・・・・・・・・・厚労省
「素材系産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」・・・経産省
「建築」「造船・船用工業」「自動車整備」「航空」「宿泊」・・・・国交省
「農業」「漁業」「飲食料品製造業」「外食業」・・・・・・・・・・農水省
各省のHPで最新情報を確認してください。


大学生の場合は「通訳」という業務でビザが取れます。
これは学部・学科は関係ありません。
専門学校生でも通訳として3年の実務経験があれば就職できますが、
これに該当する人はほとんどいないでしょう。

ただしビザ変更手続きをする際には、
就職する会社側が入管に提出しなければならない資料があります。
その資料を入管がチェックをして、「通訳」の採用に疑問を持たれてしまえば、
ビザの交付はされなくなります。

会社が外国人留学生に対して「内定」を出していたとしても、
ビザの交付がされなければ、その会社で働くことができません。

日本語学校の今後と設立について(509)

今回は、日本語学校の今後と設立について考えたいと思います。

日本語学校の今後

私が日本語教師になった20年ほど前は、政府は留学生3万人計画と言っていました。それが10万人になり30万人計画へと移っていきました。

2020年に30万人の目標は達成されましたが、個人的には少子化による大学の定員割れを減らすため、日本での労働力の確保のためにも、まだまだ留学生の数を増やしていくのではないかと思っています。

日本語学校や専門学校で学ぶ留学生の顔ぶれは、一昔前と比べて変わってきました。以前は教室の大半は中国人や韓国人でした。今も中国人は多いものの、ベトナム人が圧倒的に増えてきています。

日本の外国人留学生ランキング(一般財団法人 日本語教育振興協会調べ 2019年)
1位・中国:    16,922人
2位・ベトナム:  14,440人
3位・ネパール:   3,537人
4位・スリランカ:  1,976人
5位・台湾:     1,786人

ちなみに、世界で日本語を学んでいる人は、2020年の調査で385万人もいるそうです。1位中国、2位インドネシア、3位韓国となっています。
このようにみると、これから日本語学校を設立する際に学生募集をかける国が見えてくる気がします。

世界の日本語学習者ランキング(独立行政法人 国際交流基金調べ 2019年)
1位・中国 :    1,004,625人
2位・インドネシア:  706,603人
3位・韓国:      531,511人
4位・オーストラリア: 405,175人
5位・タイ:      184,962人

学校設立について
さて、当事務所に相談に来られる方を見ると、身近に適当な空き物件を見つけたときに、日本語学校でもやってみようかと思いつく事が多いようです。

物件の事は後日書こうと思いますが、部屋の広さで学生数が決められますので、学校設立時に最大収容数(=最大収入額)が決まってしまいます。

開校の約2年後に増員申請はできますが、教室が狭ければ申請できません。
それ以外にも学生の進学率や出席率など、クリアーしなければならない条件があります。

ちなみに開校時に申請できる人数は最大100名です。
後々の経営のことを考えて建物(教室)を決めるべきです。

しかし、私が建物よりも重要だと感じているのは、学校開設前の人の確保です。
現状、個人事業として日本語学校を一人で立ち上げようとされる方が圧倒的に多いです。

当事務所の場合、一人で始めたものの分からない事が多く、
相談に来られるのですが、
いつも「日本語学校を一人で作りあげることはできません」とアドバイスしています。

日本語学校設立の困難な点は、日本語学校の認可申請時に、「明日からでも授業ができる体制」になっていないと駄目な所です。

資金、運営のことだけでなく、授業のカリキュラム、各先生のスケジュール、
留学生の生活面のフォロー等の計画書を細かく作成し提出します。

経験の有る部分はまだしも、経験の無い部分を本やネットを見ながら作成しても、文科省のヒアリングでひっくり返されかねません。絶対に協力者を先に探すことです。どうせ後々探すことになるのですから。

最低でも、校長となる人と、主任になる人が必要です。
三人いれば、なんとか仕事の分担ができるでしょう。

まず、校長候補、主任候補を探してください。
ただし、この人達も要件があります。

校長の要件
1. 日本語教育機関の運営に必要な識見を持っていること
2. 教育に関する業務に原則として5年以上従事した者であること

主任要件
1. 教育課程の編成及び他の教員の指導を行うのに必要な知識及び能力を有すること
2. 認定校で常勤での3年以上の日本語教員としての経験を有していること

となっています。

特に主任候補は早急に決めてください。
提出書類には主任でしか、または長年日本語教師の経験があるものでしか作成できない書類があります。
これが完成しないと文科省のヒアリングで泣きを見ることになります。
以前、主任のことについて書いた文章があります。ご参考ください。

日本語学校の主任に求めるもの ☚クリック

ホテル業で外国人を雇用する

現在はコロナ禍にあり、ホテル業界は飲食業界同様に打撃を受けています。
ワクチン接種が全世界に広まりコロナが終息すれば、
また外国からの観光客も戻ってくると見越して、
外国人スタッフの雇用の検討をしている所もあります。

ただし、ホテルでの外国人雇用に関しては細心の注意点を払う必要があります。
どんな仕事をするのかで雇える人もビザも変わってくるからです。

通訳

大学や短大を卒業していれば、学部を問わず通訳をすることができます。
「技術・人文・国際」のビザを取得します。

専門学校の場合は、少し注意が必要です。

・専門学校で通訳・翻訳の勉強をしていること
・専門学校で「専門士」の学位が取れること
・3年以上の実務経験があること
これらの要件を満たしていなければなりません。


フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供

これは「特定技能」とよばれる資格です。
これを持つためには、日本国が実施している試験に合格して資格を得なければなりません。本来は外国で試験を受けて、労働者として入国するのですが、
まだこの制度はできて間もないため、各国への周知が十分ではなく、現在は日本国内でも試験が受けられるようになっています。
ですので、日本にいる留学生がこの試験を受けることができます。

ただし、注意が必要です
「試験」はいつでも実施している訳ではありませんので、国交省のHPなどで確認しなければなりません。
また、一般の外国人留学生が就職するときに取得する「技術・人文・国際」ビザは期間を更新して日本に留まって仕事を続けることが可能ですが、「特定技能」ビザは「特定技能1号」の場合は最大5年までで更新できません。それ以上働いてもらうには、「特定技能2号」の試験を受けて合格しなければなりません。

会社側のフォローが不可欠になってきます。


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